October 2009アーカイブ

次のコニー・ウィリスは、裏表紙にロンドン地下鉄MAPが描かれてある「マーブル・アーチの風」、日本オリジナル短編集です。地下鉄マーブル・アーチ駅はセントラル・ラインでボンド・ストリート駅の隣。メジャーなショッピング・ストリートであるオックスフォード・ストリートはここから始まります。倫敦行った時は、メリルボーン駅からベーカー・ストリート駅まで歩いてから南下したので、マーブル・アーチは行きませんでした。ググってみると真っ白い門がありますね。この白亜の大理石の門=マーブル・アーチは、ヴィクトリア女王を記念して建てられたとか。NYのワシントン・スクエア・アーチ(こっちは普通の石)よりも高さが低いけど素敵な門だわ、うーん♪今度は是非行こう。

さて、表題作「マーブル・アーチの風」は、20年ぶりにロンドンを訪れたトムとキャスの夫婦のお話。ロンドンの地下鉄を愛するトムは、駅構内で奇妙な爆風に襲われます。しかも他の誰も気づいていない、おかしい。と思ったトムは、気味の悪い「風」の謎を解明しようと奔走します。が、本来の目的の大会(カンファレンス)や久しぶりの友人との会食や妻希望の芝居の切符取りなどで超多忙。トムは知恵をしぼって、いかに効率よく目的の用事を済ませるか必死に考えながらロンドンの地下鉄を乗りまくります。ピカデリーラインでここ行って乗り換えてここに出ればどこそこのチケット売り場に間に合う、その後また何々ラインに乗ってどこどこホテルまで戻り……という大慌てな行程すべてが、手にとるようにわかるってスバラシイ。地下鉄の駅と駅の距離感や、雰囲気や匂いまで思い出したりして。

といってストーリーはコメディではなく、夫婦間のちょっと軋んだ空気を漂わせていき、ミドルエイジ・クライシスの重苦しさが地下鉄の異様な「風」に喩えられ、夫婦の年月や距離感を浮き彫りにします。重い話になるのかなと思いきや、なんとも気持ちのいい締めくくり方。コニー・ウィリスって上手いな〜とひとしきり感心でした。

他の短編もすべて面白くて。侵略SFコメディの「ニュースレター」、ほんわかラブコメの「ひいらぎを飾ろう@クリスマス」、そしてスリリングなラブコメ冒険もの?の「インサイダー疑惑」など、映画になったらいいのに…と思うほどキャラクターが立っている逸品ばかりです。一番好きな作品は、ばかばかしい魅力に満ちた「ニュースレター」でした。これと「ひいらぎ…」はクリスマス・ストーリーだし、読後が爽快な気分になれるのでプレゼントにいいかもしれません。

すっかりコニー・ウィリスに夢中のワタクシ、現在は「ドゥームズディ・ブック」を読み始めています。「最後のウィネベーゴ」も待機中。通勤電車timeが楽しい楽しい。

「翻訳ミステリーシンジケート」というブログがスタートしたようです。
更新が楽しみなブログですね。

翻訳ミステリー大賞シンジケートとは?

 シャーロック・ホームズ、アルセーヌ・ルパン、エルキュール・ポアロ、ミス・マープル、エラリー・クイーン、フィリップ・マーロウといった主人公が活躍する翻訳ミステリーは、日本でも古くから紹介され、長く親しまれてきました。その伝統は今も受け継がれ、さらに多くの魅力的な主人公が新たに紹介されています。スペンサー、ミロ・ミロドラゴヴィッチ、マット・スカダー、ハリー・ボッシュ、ジャック・フロスト、リンカーン・ライムといった名探偵、名刑事たちです。しかし、残念ながら、日本における彼らの知名度はシャーロック・ホームズに遠く及びません。翻訳ミステリーの面白さは少しも変わっていないのに。いや、むしろ作品の質も量もより豊かになっているのに。

そんな現状に一石を投じ、ひとりでも多くの方々に翻訳ミステリーを手に取ってもらう一助になればと思い、このたび『翻訳ミステリー大賞』を創設しました(発起人=小鷹信光、深町眞理子、白石朗、越前敏弥、田口俊樹)。年間ベストを選ぶこの手の賞はすでにいくつもありますが、現在活躍中の翻訳者にかぎっての投票で選ばれるところが本賞の特長です。つまり、翻訳者が自ら選ぶ翻訳大賞というわけです。

本サイトはそうした翻訳ミステリー大賞を脇から支援する目的で、書評家、編集者、翻訳者の有志によって起ち上げられました。さまざまな角度から翻訳ミステリーの魅力について考え、みなさんが翻訳ミステリーをより広くより深く愉しまれるためのお役に立てれば、と思っています。翻訳ものにはこれまであまりなじみのなかった方から年季の入ったマニアまで、幅広い方々に愉しんでいただけるサイトにしていく所存ですので、どなたにもお気軽にアクセスしていただければ幸いです。なお、コンテンツは土日を除いて毎日更新される予定です。

言わずもがなながら、執筆者はみな翻訳ミステリーをこよなく愛する人々です。

翻訳ミステリー大賞シンジケート幹事 田口俊樹

※この巻頭言はコピーフリーです。自分のサイト、ブログで「翻訳ミステリー大賞シンジケート」の宣伝をしてくださる場合には、どうぞコピーしてご利用ください。なお、サイトのURLはhttp://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/です。

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すっかりショートブレッドのファンになっている昨今。
上のは日本でも購入しやすいWalkersのショートブレッド。
下は、Russell Hotelのサービスで毎日2つずつ補充してくれたブロンテのクロテッド・クリーム・ショートブレッド。これが美味しくてすっかりお気に入り。Walkersのも美味しいんだけど、ブロンテのほうがもう少ししっとりできめ細かい感じ。
いろいろ調べたけれど、日本では買えません。がっくり…。
UKの通販でもこれとまったく同じ商品は無かったり。
こんなことならホテルに聞いて、たくさん買って帰ってくればよかったなー。

犬勘定

正式には「犬は勘定に入れません−あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」という長さ。単行本発売当初はタイトルの面白さにかなりウケた本で、(翻訳は大森望さんだし)その後気になっていたものの読む機会を失ったまま時が経ち、このたび文庫版をやっと読みました。まぁホント、面白かったぁ〜、こんなにドタバタコメディーとは思いませんでした。だって「航路」の人だヨー。あとがきを読むと、コニー・ウィリスはシリアスものとコメディーと2パターンあるんですね。

第二次大戦中のロンドン大空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂。そこにあったはずの「主教の鳥株」という花瓶を探し出す指令を、ボスのレイディ・シュラプネルから受けた史学生ネッドとヴェリティは、タイムトラベルで21世紀と19世紀をドタバタと行ったり来たりする。タイムトラベルのしすぎで頭がフラフラになって言語がおかしくなるネッドとか、ちゃんと出てこないのに圧倒的な存在感のレイディ・シュラプネルとか、ヴィクトリア王朝の時代ののんびり風景とか、ブルドックのシリルと猫のプリンセス・アージュマンドがカワイイとか……次から次へと出てくる引用がわからなくても、楽しめる魅力が盛りだくさん!
……というかです、会話がこれほど噛み合わない人物たちの500頁もあるストーリーを、あっという間に読ませてしまうって、それが何よりも凄い。あまりにもムチャクチャなので途中で何だかわからなくなっちゃって、そもそも何探してたんだっけ?と中盤で迷宮入りな脳内。なのに最後にはそれが綺麗に着地するのは見事。コニー・ウィリス面白いなー、もっと早く読めば良かった。
ということで、次は「マーブル・アーチの風」を。

Liverpoolには日帰りで行きました。
行きはユーストン発7時7分、帰りはリバプール発18:45発の電車。

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●ライム・ストリート駅に着いて感激。

倫敦に行ってきました。NYにあるJohnのダコタ・アパートを訪れたのはもう20年も前のこと。さあ、次は英国だ!とテンション上がるも、あっという間に時は過ぎ…、20年経ってやっと行けたよ倫敦へ。お遍路ーラーも歳をとってしまいましたがw、Beatels関連ポイントを駆け足で巡って参りました。

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●当時彼らがロンドン滞在の際よく利用していたのが、Hotel President。今回隣のRussell Hotelに宿泊したので、この有名な写真の場所はご近所でした。左がRussell Hotel 、右がHotel President。


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●Russell Squareの噴水前で。

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親のホームパーティーの喧騒を抜け出したローティーンの3人。(その家の子供である)双子の姉弟ダイアンとジェス、幼馴染のタイラー(主人公)は、のんびりと夜空を見上げていたが、突如星と月が消えて空は漆黒の闇となった…。地球が宇宙の時間の流れの1億分の1の速度になってしまったのだ。太陽は偽者で、しかも地球は謎の膜(SPIN)に覆われている。地球を守っていると思われるSPINとは何か、そして人類はどうなるのか。。。

地球の時間が遅いということは、地球以外の星々の老化がめっぽう早いということで、つまり最も大事な太陽が急激に肥大し、のんびりしている地球が異様に早回しで巨大化した太陽にあっという間に飲み込まれてしまうということで、しかも遠い遠い未来ではなく現代この世代にそれは起こるわけで、これはものすごく大変な出来事であります。

なんともスケールのでかい話で圧倒されますが、科学的な展開と人間ドラマが3:7という感じのバランスのため、文系の私でも楽しく読めました。地球規模の危機に直面した人間の行動は様々で、乗り越えようとする者、逃げようとする者、淡々と受け入れる者、それぞれが意味深いドラマを作りあげています。主人公の視点と物語の核心との距離感が絶妙。SPINの謎を科学的に解明しようとするジェスの姿には神々しささえ感じ…。
続編、大いに期待であります。

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